공유

第四話 継がれし想い

last update 게시일: 2025-06-24 05:38:28

第四話    継がれし想い

 「ほら、いつまで寝ているんだい!」 朝の五時、梅乃は大声で起こされた。

 「ふえ……?」 寝ぼけ眼で梅乃が目を覚ますと、妓女の大部屋が騒がしい。

 “キョロキョロ……” 大部屋を見ると、全員が起きていた。

 「起きた?」 小夜が梅乃の横に、チョコンと座る。

 「なんで、こんなに早いの?」 

 「知らないの?」 小夜が驚いたように言った。

 「江戸町二丁目の近藤屋が店を閉めるんだって!」 小夜は焦ったかのように話す。

ここ吉原には五つの町が存在する。

そこは大門(おおもん)から、突き当りの水道(すいど)尻(じり)までの約二百三十メートル真っすぐな道を仲(なか)の町(ちょう)という大通りがある。

その仲の町の両脇には、引手茶屋が多数ある

そして、東西に分けられた町がある。

東側には、伏見町、江戸町二丁目、角(すみ)町、京町二丁目

西側には、江戸町一丁目、揚屋(あげや)町、京町一丁目 がある。

その中でも、江戸町は大見世が軒(のき)を連ねていた。

「へー 近藤屋がね……」 梅乃には、まだピンと来ていなかった。

同じ江戸町で、大見世だった近藤屋が閉めてしまうことの重大さに気づくのは、まだ先のことであった。

その噂は三原屋でも独占していた。

普段なら色恋や、たまに来る舞台役者の話しでもちきりなのだが、今回は近藤屋の話しでいっぱいだった。

それは、近藤屋が閉鎖することにより三原屋も妓女を引き取るからだ。

ある程度、大見世である三原屋だが定員はある。

良い妓女が来れば、売上の悪い妓女は去らねばならない。

それは、他の中見世や小見世に行かなければならないということであり、

年季が明けるまでは避けたい事態である。

このピリつい空気に、梅乃と小夜も察してきた。

「お前たち、禿は良いよな……時代が被らなくて……」 妓女の一人が言う。

 しかし、いつの時代にも大変な時期はある。

梅乃たちでさえ保証はないだろう。

そんな中、やはり近藤屋の妓女が三原屋にやってきた。

「よろしゅう、お頼み申しんす……」

近藤屋からは、四人の妓女を引きとった。

 「おや? 貴女は此処の禿だったの?」 近藤屋から来た、一人の妓女が梅乃に話しかける。

 この妓女は、花緒と言う。

 「はい。 ご存知だったのですか?」 梅乃は驚いたように話す。

 「えぇ、いつも桜の木の下で泣いていたでしょ」 花緒はクスクスと笑った。

 (ちょっと恥ずかしいな……それに、そんなに泣いてたかな?)

 梅乃は、頬を赤くした。

 新しく妓女が入った事により三原屋は活気づくかと思ったが、不況の波は激しかった。

 そして、客が少なくなり暇になると始まるのがイジメだ…

 「おい、小夜……髪結い、早くしな」 妓女は、段々と禿にまで言い方がキツくなる。

 事が上手くいかない場合は、

 「お前たち禿が役に立たないからだ! しっかり働け!」 などと暴言を浴びせる毎日になっていった。

 そんな梅乃と小夜の心の支えになっていたのが、約束の

 “ニギニギ ” である。

 つらい時、苦しい時にはお互いに “ニギニギ ” を見せ合っていた。

 そんな行動を玉芳は、いつも見ていた。

 ある時、玉芳が梅乃に聞いてきた。

 「あのニギニギするポーズは何だい?」

 その言葉に梅乃は驚いていた。

 (見てたんだ……変な事して、マズかったかな……)

 「変な意味じゃないよ。 ただ、二人がニギニギした後に二人が笑顔になるから気になってたのさ……」

 (ホッ……怒られるかと思った) 梅乃は息を落とした。

 「これは、前に叩かれたり蹴られたりした毎日の時でした……仲の町の桜の木の下で、小夜と手を繋ぎながら誓ったんです。 「絶対に花魁になろう」って……その手を握った時の真似なのです」

 梅乃は恥ずかしそうに説明した。

 「いい話しじゃないか!  私も仲間に入れてくれないか?」

 「花魁……だって、花魁じゃ、約束も何も……」

 「あはは……そうだな。 じゃ、もう少し高みに行けるようにじゃダメかい?」

 玉芳は笑いながら話した。

 「はい。 一緒に行きましょう……まだ、桜は残ってますしね」

 梅乃は笑顔で応えた。

 そして、昼見世が終わった頃

 「梅乃、小夜、行くよ」 玉芳は二人を誘い、仲の町の桜の木まで来た。

 そして、真ん中に玉芳が入り、三人で手を繋いだ。

 「みんな良くなれ……辛くても、苦しくても頑張ろう」 玉芳は言葉にして、左右の禿は頷いた。

そして、何度も手を握ったのである。

 約束をした後、吉原の茶屋で団子を食べた三人は会話を楽しんだ。

 これは玉芳の母性なのかもしれない。 禿の二人と話しているのが楽しくなっていた。

 「しかし、化粧を落とすと花魁ってバレないものですね……」 

 小夜の一言で、玉芳は茶を吹き出す。

 「小夜……」 玉芳は呆れた顔で、小夜を見た。

 「すみません……」 小夜が謝ると、玉芳は母のような目をして笑顔になっていた。

 「今日の約束ね……私も仲間に入れて貰って元気になったよ」

 そう言った玉芳は、少し寂し気な顔をした。

 「どうしたのですか?」 梅乃が聞くと

 「私も、もうすぐ三十になる……いつまでも花魁なんか出来ないだろうし、いつ三原屋を出されるか分からないしさ……だから、お前たちの元気が欲しくなったのさ」 玉芳の言葉に、二人が黙った。

 「花魁……コレですよ」 梅乃は手を前に出し、ニギニギを始めた。

 「そうだね」 玉芳も、手を前に出してニギニギをした。

 「戻ろう」 玉芳は、梅乃と小夜を連れて妓楼に戻った。

 妓楼に戻った梅乃と小夜は、妓女の身の回りの世話を始める。

 「何やってんだい!」 こんな言葉も毎度である。

 それでも禿の二人は、ニギニギをしながら支え合っていた。

 玉芳を交え、三人で誓い合った約束を果たす為に。

 そして数日が過ぎ、昼見世の時刻。

 花緒が梅乃に声を掛ける。

 「梅乃、ちょっと……」 花緒が梅乃に手招きをする。

小走りで梅乃は近づいた。

「どうされました?」 梅乃が言うと

「今日の酒席、小夜と二人で手伝ってくれないか?」

「はい。 早い時間であれば問題なく……」 梅乃は答えた。

梅乃と小夜は、まだ十歳である。 夜、遅い時間は働くことは禁じられている。

これは、店主の文衛門が決めていることだ。

文衛門は仕事には厳しいが、実際には優しい旦那なのだ。

梅乃が夜の仕事に入る時は文衛門に話さなければならない。

小夜も同様だが、二人の父親でもあるからだ。

「では、旦那様にも話してきます」 梅乃は立ち上がり、采の所に向かった。

采に話すと、文衛門がやってきた。

「お前は働き者だね……しっかり勉強をしておいで」 文衛門は、梅乃の頭を撫でて話した。

「姐さん、許可を貰いました。 勉強をさせてもらいます」

小夜も横に立ち、梅乃は元気よく話していた。

夕刻、 「梅乃、小夜、こっちへ……」 玉芳が二人を手招きする。

「花魁、いかがされました?」 梅乃が聞くと、

「コレを使いなさい」 玉芳が二人に差し出したのは白粉(おしろい)と口紅であった。

そして、玉芳自らが二人に化粧をしてあげた。

「こういう風にやって……」 と、化粧の勉強を教えていたのだ。

そして、十分が過ぎた頃

「これでよし! しっかり稼いでくるんだよ♪」 この玉芳の言葉は、妓女として最初の頃、采に掛けられた言葉だった。

この想いは、受け継がれていくものだと玉芳は思っていた。

そして、三人でニギニギをして梅乃と小夜は、花緒の元に向かった。

「なんだい? 随分とお洒落をしたじゃないか?」 采が二人を見て驚いていた。

「はい♪ 花魁に化粧をして頂きました」 梅乃は、胸を張って答えた。

「そうか、しっかり勉強してくるんだよ」 采は笑顔で言った。

(いつも怒った顔をしているのに、笑顔だ……) 梅乃と小夜は、軽く恐怖を覚えた。

そして夜見世が始まった。

花魁と同じように、引手茶屋まで客を迎えに行く。

しかし、花緒は花魁ではないので派手な道中をすることは無かったが、それでも禿を率いての迎えは噂になるものである。

「ありがとう♪ 少し目立ったわ♪」 花緒は笑顔だった。

(花緒姐さん、玉芳花魁とは格が違うけど優しいな……)

梅乃と小夜は、子供ながらも人を見ていた。

着飾った梅乃と小夜は、酒宴にも参加をしていた。

特に接待はないが、雰囲気や会話の勉強である。 新造の身分であれば、今後の事を考えると客を取られかねない。 堂々と吸収できる期間は禿の期間だけであった。

そして夜の八時頃、花緒の合図で梅乃と小夜は、礼をして酒宴を去った。

『バシャ バシャ……』 化粧を落としていた梅乃に玉芳が話しかけてきた。

「どうだった?」 

「はい。 勉強になりました」 梅乃が答えた時、

「はい。 コレ……」 玉芳は、梅乃と小夜に櫛(くし)をプレゼントした。

「えっ? よろしいのですか?」 小夜は驚き、両手で櫛を抱えた。

「いっぱい あるから……」 そう言って、玉芳は二階へ戻っていった。

その櫛は、梅の柄が入った物は梅乃へ。

節目の入った櫛が小夜へと渡された。

「大事にします♪」 そんな無邪気な少女は、さらに励むようになっていった。

後日、菖蒲と勝来に櫛を貰った事を話した。

「……」 菖蒲と勝来は黙ってしまった。

「姐さん?」 梅乃はキョトンとしていた。

「その櫛、大事にしなさい。 そして、大きくなったら同じ事をしてあげなさいね……」 勝来は言った。

(これは、どんな意味があるんだろう……?)

この意味を知るには、そう時間は掛からなかった。

이 작품을 무료로 읽으실 수 있습니다
QR 코드를 스캔하여 앱을 다운로드하세요

최신 챕터

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第九十九話 危うき情勢

    第九十九話    危うき情勢 「おはようございます……」 朝早くに目覚めたのが二葉である。 二葉は大人しめではあるが、しっかりした子である。 一番年上である一花は真面目で働き者。 菖蒲に似たタイプだ。 そして、なかなか起きないでスヤスヤと眠っているのが三枝。 好奇心旺盛で、梅乃に懐いている。 後朝の別れの時間になると、廊下が騒がしくなり禿たちが目を覚ます。 “スッ―” 襖を開け、客が通ると全員が頭を下げて見送る。 「ありがとうございました……」 他の客もいるため、静かに声を出すと 「なんだ、ここは嬢ちゃんたちの部屋だったか。 起こして済まないね」 客が笑顔で言ったりもする。 ここは大見世であり、客層が良い。 禿たちにも優しく接してくれる者も多いのだ。 「あれ? 梅乃は?」 小夜が訊くと、全員が首を振る。 その頃、梅乃は岡田の部屋で眠っていた。 遅くまで勉強をしていて、そのまま眠ってしまったらしい。 「うわっ――?」 岡田が寝起きに大声を出す。 「んっん……」 梅乃がスヤスヤと寝息を立てていると、 「お前、なんでここで眠っているんだ?」 岡田は焦っていた。 「先生、おはようございます」 目が半分しか開いていない梅乃が起き出す。 それから数分の無言の時間が流れ、ようやく目が覚めた梅乃が 「それで、先生は何を怒っているの

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第九十八話 試験

    第九十八話    試験 夏になり梅乃の前期の試験が近づいてくる 。 「どう? 梅乃、進んでる?」 小夜が心配そうに顔を出すと 「それなりに…… 見世の方はどう? 新造も大変でしょ?」 「ううん…… 引っ込み新造だから、暇なくらいだよ~ 古峰が頑張っているしね」 小夜は笑いながら話している。 夏になってくると自然と客は増えてくる。 気温が高いと開放的になり、散財する客も増えてくるものだ。 また、梅乃の試験と合わせたように玉菊灯籠も近くなる。 吉原を代表するイベントであり、見世や妓女たちの今後を左右する試練でもあるのだ。 梅乃も勉強に力を入れていく。 隣では岡田が付いて教えるようになっていった。 「梅乃、薬草の効果を知りなさい。 薬を知れば病気が分かる」 「わかりました」 薬学は後期の試験、前期の為の勉強をしたいのだが病気を知るには薬学も必要になってくる。 梅乃は知識として頭に叩き込んでいく。 朝、学校に向かうと 「おはようございます……」 梅乃が挨拶をするも、生徒たちは梅乃を畏敬の目で見るようになっていた。 (ラシャメンとでも言いたいんだろうな…… それでもいい。 まずは試験だ) 梅乃は頭を切り替え、勉強に集中していく。 解剖学になると梅乃は楽しそうにしている。 教科書では文字の知識ばかりなので、身体の秘密を知るのが楽しかった。

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第九十七話 ラシャメン

    第九十七話    ラシャメン「いってきます……」 梅乃が学校へ向かう時「いってらっしゃ~い」 一番年下の三枝が大きく手を振って見送る。(かわいいな~) 梅乃は三枝の頭を撫で、元気に登校していく。学校へ着くと、教室が騒がしい。 その中で東郷だけがソワソワしていた。なぜなら学校で梅乃が吉原から来ているという話しが駆け巡っていたからである。実際、梅乃は遊女ではない。 それを東郷は知っている為に噂を否定したいのだが、逆に『遊女にハマった男』と言われるのを恐れてしまったのだ。学校に通っている者は医師の子供や士族など、金持ちが多い。 そうした者は吉原の、遊郭の娘である梅乃を卑下して見るようになっていたのである。(梅乃ちゃんは、そんな娘ではない……)一緒に麻疹と戦った者として否定したいのだが、先日に言われた事を気にしていたようだ。『これは真《まこと》の事ですから…… それに、実家が遊郭だからって恥じることもございません。 噂や他人の目が気になるようでしたら、私と一緒に居ない方がいいと思います』 梅乃が言った言葉が東郷の脳裏をよぎっていた。(でも……)東郷がチラッと梅乃を見ると、梅乃は黙って教科書を読んでいた。そして昼になり、梅乃は一人で弁当を口にする。東郷も梅乃の様子を見ながら

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第九十六話 刀狩り

    第九十六話    刀狩り 明治九年、時代が大きく転換していく。 「聞いたか? 武士の階級が無くなるんだとよ……」 吉原でも噂になっていた。 まだ幕府があった頃、武家など多くの大名に仕えている家は特例処置が施されていた。 その後、士族と呼ばれるようになり、家禄支給と呼ばれるものだ。 政府から恩給という形で財を得ていた武家や華族などに渡さないこととなった。 秩禄処分という形で公債となっていく。 そして士族を含む、一般国民の帯刀が禁止され武家の象徴であった刀の時代が終わりを迎えた。  「それって、何かが変わるってこと?」 小夜がキョトンとして聞いてくると、 「そうだな…… 少し寂しいが、これも時代なのだろう……」 こう話すのが勝来である。 勝来は武家に生まれ、父親の失脚により吉原に売られた経緯を持つ。 「元、大名の方が来てくれていたから三原屋《ウチ》は大丈夫だったが…… これからどなるやら……」 妓楼主はため息をつくしかなかった。 特権こそが売り上げを左右していたからだ。  「まだ、諦めるのは早いわよ。 しっかり前を向いていきましょう」 勝来が妓女たちの心を引き締める。 ここで弱気になっては衰退してしまう危うさを感じていたからだ。 勝来が花魁を襲名するまで、あと少し。 立派に資質が備わってきていた。 政府は本格的に時代への舵を切っていく。 これにより士族からの反発

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第九十五話 定め斬り

    第九十五話    定め斬り 「姐さん、おはようございます……」 梅乃は、朝から瀬門の看病の為に鳳仙楼に来ていた。 (身体が熱い。 まだ熱が高いな……) 梅乃が冷たい手ぬぐいで身体を拭いていると 「梅乃…… ごめんね」 瀬門の細い声が聞こえてくる。 「ここ、痛みますか?」 瀬門の身体には発疹があり、その部分を優しく撫でると 「うっ― 痛いような痒いような……」 梅乃が発疹をマジマジと見ていく。 (これって、少し汁が出るんだ…… これが感染なのかな?) 発疹が出ると、つい掻きたくなってしまう。 すると汁が付き、それで媒介してしまうことがある。 つまり、飛び火というヤツだ。 梅乃は瀬門の指先を見る。 (爪にも皮が入っている…… この手で、何かに触り他の人が後に触ったら……) 梅乃は襖を開け、 「すみません…… 誰かいらっしゃいますか?」 大きな声で叫ぶと、同じ二階にいる花緒がやってくる。 「どうしたんだい?」 花緒が足を前に進めてくると、 「そこまで! これ以上は来ないでください」 梅乃の目が厳しくなる。 「感染しますから、これ以上は……」 梅乃が軽く頭を

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第九十四話 白衣

    第九十四話    白衣 土曜日、梅乃は学校で授業を受けていた。 そして講師が最後に 「来週から解剖学をするから白衣を持参するように」 梅乃は紙に書き、来週からの授業を予定していく。 「梅乃ちゃん、帰ろう……」 仲良くなった東郷は梅乃と帰っていく。 「なんだよ、随分と手が早いじゃないか」 茶化す生徒も出てきたが、梅乃は初めての学友となる存在を知ることになった。 吉原に戻ると土曜日は夜見世が忙しくなる。 古峰と三人の禿は走り回って妓女の世話をしていた。 「ただいま戻りました」 梅乃が玄関に入ると、 「梅乃、おかえり」 小夜が出迎えに来ていた。 小夜は新造となったが、引っ込み新造の為に客を取ることが出来ない。 身を隠すのも仕事な為、時間を持て余していた。 そこに岡田がやってきて「梅乃、学校はどうだ?」 と訊くと、梅乃は頭を下げ 「本当に楽しいです。 毎日が医術の勉強で、知らないことも沢山…… 教わっていて楽しいんです」 そして、梅乃が書いたノートを見せると 「随分と書き込んでいるな…… 紙が足らないだろ?」 そう言うと、岡田が部屋から大量の紙を持ってくる。 「岡田先生……」 岡田は吉原の外に出ると、必ず梅乃の勉強に必要な物を買いそろえていた。 「それで、今度の必要な物はなんだ?」

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第四十三話 初恋

    第四十三話    初恋明治六年 一月。 この日から新暦となった。「なんか新暦って聞くと、違うね♪」 小夜と古峰はウキウキして暦表を壁に掛ける。 以前に玉芳が送ってきた紙である。 「―ッ」 古峰は気配を察して逃げ出すが、小夜は気づかず 「今日から新暦、心が引き締まるな~♪ って……古峰&hell

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第三十八話 逆襲

    第三十八話    逆襲「こんにちは~」 梅乃が挨拶をする。この日は赤岩と往診に出ている。「あ~ 梅乃ちゃん、いらっしゃい。 先生もありがとうございます」そう言って、妓楼の中に入れてくれたのは小松崎である。以前、大量の足抜により頭を抱えていた『小松屋』の店主である。梅乃の活躍によって足抜は無くなり、見世を維持できていた。そんな小松屋が三原屋に往診を依頼してきていたのである。赤岩と梅乃が大部屋に入ると 「一列に並んでくださーい」 梅乃は早速、妓女並ばせる。(すっかり手慣れたもんだな……) 赤岩がクスッと笑う。「では、始めます」 赤岩が言うと、梅乃が妓女の服の下を確認していく

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第三十三話 紅

    第三十三話    紅《べに》冬も終わる頃、昼間の暖かさを感じれるようになってきた。そして、頬に温かさを残している者がいる。片山である。片山は、鳳仙が触れた頬の感触が忘れられずにいた。『ボーッ……』 仕事をしているものの、少しすると鳳仙を思い出しては こうなってしまう。(重症だな……) 禿の三人は、遠目で見ていた。「古峰~ ちょっと……」 妓女のひとりが古峰を呼ぶと「は~い。 姐さん、行きます」 そう言って大部屋に向かう。玉芳が厳しく言ったことから、禿に厳しく言うことは減っていた。古峰も段々と警戒は薄れ、返事も明るくなっていた。(やっぱり玉芳花魁は凄い……) 梅乃の理想は

  • ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~   第二十五話 大門を打つ

    第二十五話    大門を打つ一八七二年 (明治五年) 江戸の街と呼ばれていた場所は、東京へと名前が変わっていた。ただ、どうしても『江戸』と呼ぶ人もまだ多い。そして、今までの『将軍』と呼ばれる人はおらず、総理大臣と呼ばれる者になっていた。それは、初代 内閣総理大臣 「伊藤博文」である。これは時代が進んだ証であり、髷や刀などといった物が世間から消えていったことである。しかし、江戸の名残《なごり》もあり、変わらぬ文化も存在する。ここ、吉原である。吉原は幕府公認の妓楼《ぎろう》街《がい》であり、存在は江戸から明治になっても存在していた。ここに昔から変わらぬ妓楼も数多く存在している。

더보기
좋은 소설을 무료로 찾아 읽어보세요
GoodNovel 앱에서 수많은 인기 소설을 무료로 즐기세요! 마음에 드는 작품을 다운로드하고, 언제 어디서나 편하게 읽을 수 있습니다
앱에서 작품을 무료로 읽어보세요
앱에서 읽으려면 QR 코드를 스캔하세요.
DMCA.com Protection Status